ADA（カルダノエイダ）の「Vasil」ハードフォークへのアップグレードについて

2022年9月22日、ADA（カルダノ）のメインネットにおいて、「Vasil」ハードフォークへのアップグレードが実施されることになりました。「Vasil」は6月に稼働する予定でしたが、テスト環境での不具合等で何度か延期をしてきましたが、2022年9月22日にいよいよアップグレードを実施することがきまりました。

各取引所では、ADAのペアは数時間Close Onlyモード（Close Onlyモードとは、新規のポジションは建てられませんが、既存のオープンポジションは閉じることができるモード）になったり、取引ができない状況になることが予想されますので、ADAで取引をしている方はご自身の取引所の状況を確認しておきましょう。

「Vasil Hard Fork」とは？

「Vasil Hard Fork」では、Cardanoブロックチェーンとそのスマートコントラクトプラットフォームである「Plutus」で重要なアップデートが実施される予定となっています。具体的には以下4種類のカルダノ改善提案（CIP）が導入され、スケーラビリティ（拡張性・適応能力）が大幅に向上が期待されています。

CIP-31（Reference Inputs）:リファレンス入力

満たす必要のある要件がいくつかあります。
-決定論
-トランザクションが与えられた場合、スクリプトの実行を正確に予測できる必要があります。
-地域性
-トランザクションの検証に関連するすべてのデータは、トランザクションまたはそれが費やす (または参照する) アウトプットに含まれている必要があります。
-非干渉
-トランザクションは可能な限り他人に干渉しないでください。主な例外は、トランザクションが他のトランザクションが必要とするリソースを消費する場合です (通常は UTXO エントリを消費することによって)。
-リプレイ保護
-システムは、古いトラフィックを再生することによって攻撃可能 (たとえば、予期しないデータの読み取りを許可する) であってはなりません。
-ストレージ管理とガベージ コレクション インセンティブ
-システムが必要とするストレージの量には、ノードの過負荷を防ぐ制御が必要であり、理想的には、時間の経過とともに使用されるストレージの量を縮小するインセンティブが必要です。
-最適化されたストレージ
-システムは、最適化されたストレージ ソリューションに適している必要があります。
-スクリプトへのデータ転送
-スクリプトには、データを観察する方法が必要です。
-ツールとライブラリのサポート
-ツールとライブラリが新しいシステムで動作することはそれほど難しくないはずです。
-ヒドラ
-トランザクション グラフの独立した部分の並列処理など、Hydra のニーズを損なうことなく、システムを使用できる必要があります。

CIP-32（Inline Datums）:インライン データム

データム ハッシュの代わりに、データム自体を出力に添付できるようにすることを提案します。
これにより、ユーザー間でのデータム値の通信がはるかに簡単になります。

CIP-33（Reference Scripts）:古いスクリプトが存在する場合の参照スクリプトを禁止するための更新

古いバージョンの言語では、古いインターフェイスが保持されます。
古いインターフェースに参照スクリプトに関する情報を含めようとすることは提案していません。
古いバージョンの言語のインターフェースは変更されません。
古いバージョンのスクリプトは、参照スクリプトを含むトランザクションで使用できません。使用しようとすると、フェーズ 1 のトランザクション検証エラーになります。

CIP-40（Collateral Outputs）:担保出力

ウォレットが担保を明示的に設定する必要がなくなり (これは悪い UX です)、同時に担保の安全性を向上させる、担保出力と呼ばれる新しい出力タイプをトランザクションに追加することについて説明しています。
このPRは、カルダノでの担保処理を改善する一連のさまざまな方法の一部です。以下の3つのオプションを見つけることができます。

カルダノブロックチェーンでは続々と新しい分散型アプリケーション（dApps）が構築されていますが、今回のアップデートではCardano上でのトランザクション（取引）をより快適にする複数の改善がなされるため、より多くのdAppsを迎えることが可能になり、Cardanoブロックチェーン上での取引も大幅に増加して行くことになると予想されています。